
柔軟な設計とコスト面の優位性から、コンテナハウスを店舗として利用する動きが広がりつつあります。特に飲食店開業では、工期の短さや移転のしやすさといった特徴が魅力です。
一方で、建築基準法への適合や設置する土地の条件、さらには水回りや断熱といった設備面には注意が必要です。
この記事では、コンテナハウスを店舗として活用する際のメリット・デメリット、費用相場、開業までの流れをわかりやすく解説します。
目次
コンテナハウスで飲食店舗を開業するメリット

コンテナハウスは店舗だけでなく、住宅として利用する方もいるほどポピュラーな建築物です。ここではコンテナハウスを活用し、飲食店を開業した場合に得られるメリット5つについて、紹介します。
工期が短い
コンテナハウスは、現地で長期間の工期を設ける必要がありません。
これは外観・内装ともに工場で生産し、組み立てた状態で搬入するためです。現地では電気・ガス・水道などのインフラ工事を中心に建設すればいいので、作業量を大幅に削減できます。
この方法は、一般的な木造住宅の建設期間が6ヶ月に対し、1ヶ月~3ヶ月で建設・開業が可能です。
コンテナハウスは一般的な建物が現地で長い時間をかけて建設していくのに比べると、工期を大幅に短縮できるメリットがあります。
重量鉄骨造でも建設費用が安い
一般的な木造建築と建設費用に大きな差はありませんが、重量鉄骨造の建物と比べると、コンテナハウスは安く建設できます。木造よりも優れた耐久性・強度に優れている点もメリットです。
カスタマイズしやすい
コンテナハウスは1台のみでコンパクトに使うことも、複数を組み合わせて大型店舗にすることも可能です。内装や外装も自由度が高いため、無骨なコンテナをそのままデザインとして活かしたり、素材の貼り付けやペイントでオリジナルデザインを施したりするのもよいでしょう。
コンテナハウスの具体的なカスタマイズ例が知りたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。
移転しやすい
1台だけのシンプルなデザインなら、コンテナハウスの状態を維持したまま移転できます。基礎や配線など細々とした工事は必要ですが、建物そのものを最初から作るより費用も工期も抑えられるため、店舗の移転が容易です。
個性的な外観で宣伝効果がある
コンテナハウスの形状そのものが、大きな広告塔となりえます。店舗の集客を助けるポイントの一つは、初めて訪れる方が迷わず見つけられるような、個性的な外観や看板の存在です。形状が個性的なコンテナハウスは、「コンテナハウスのお店」と口コミでも広がりやすく、高い宣伝効果が期待できます。
コンテナハウスで開業する際のメリットや開業資金を更に知りたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。
コンテナハウスで飲食店舗を開業するデメリット

コンテナハウスを建設しての飲食店開業は、メリットが多くありますが、進め方次第ではデメリットも発生します。ここでは代表的な4つのポイントを解説します。
コンテナハウス自体の大きさを変えられない
コンテナハウスは、本体がそのまま建物の外壁と構造体を兼ねているため、サイズや形状の変更が非常に困難です 。複数のコンテナを縦横につなぎ合わせれば、店舗面積を広げられますが 、天井の高さを自由に変えたり、あとから面積を狭めたりといった柔軟な増改築はできない点には、注意が必要です 。
建設費用がかかる
コンテナハウスは木造建築と同等の費用がかかる場合があります。1台でシンプルな店舗を作るのであれば大きな出費にはなりませんが、窓などの開口部を設置すると強度が落ちるため、補強や溶接の作業などの費用がかかります。ある程度の広さを求めた場合、通常の建築物よりも高くつく可能性もあることに注意しましょう。
設置する土地を確保する必要がある
コンテナハウスで飲食店を開業する際は、コンテナハウスを設置する土地が必要です。土地はどこでもよいわけではなく、コンテナハウスを運び込める場所でなくてはいけません。
コンテナハウスは現場で組み立てる部分もありますが、ある程度はメーカーで組み立ててから現地に運びます。コンテナ輸送車が入らない狭い場所では設置できない点に注意しましょう。
断熱や防錆で耐久性を高める
コンテナハウスは鉄でできており、熱が伝わりやすいのが特徴です。コンテナハウス内は外の気温の影響を受けやすいため、対策をしないと、夏は暑く、冬は寒くなります。飲食店を開業する際は、断熱施工や防錆処理が必要です。飲食店として快適さを確保するには欠かせません。
コンテナハウスで店舗開業する際に気を付けたい点は、下記の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
コンテナハウスで飲食店舗を開業するときの流れ

コンテナハウスで飲食店舗を開業するときに必要な、要件定義からオープンまでの実施事項と手続きの一般的な流れを、4つのステップに分けて順に説明します。
開業に必要な要件定義
まず、店舗の具体的なイメージやビジネスの土台となる要素を決定します。
具体的には開業の目的、営業期間、予算といった基本事項です。またこれに基づき、提供するメニュー、必要な席数、電気・ガス・水道といったインフラを含む必要な備品を選定していきます。加えて、コンテナハウスの設置場所が搬入や設置作業に適しているかを、事前に確認しておくことも重要です。
設計と申請の手続き
要件が決まったら、詳細な設計作業と関係機関への申請手続きを行います。
これは詳細な内装レイアウトの設計や、店舗の見た目となる外観を設計図に起こす作業です。設計と並行して、建築確認や消防・保健所など、関係各所へ必要な手続きを行いましょう。この段階で、設計内容に基づいた費用の概算を出し、予算と調整します。
工場での製作作業
設計や申請が完了したら、コンテナの加工と現地での準備を並行して進めます。
コンテナは工場内で加工作業や内装工事を行い、並行して、現地では基礎工事や電源確保の準備、給排水の配管など整備を進めます。制作が完了した時点でコンテナを搬入し、最終的に現地で設置される流れです。
検査とオープン準備
コンテナの据付が完了したら、最終的な確認作業や開店準備を行います。
建築確認の検査に加え、消防署や保健所などの各種法令に適合しているかどうかの確認を受けます。これらの検査をクリアしたあとは、什器の搬入を行い、スタッフのトレーニングなどを実施し、すべての準備が整えば、オープン可能です。
コンテナハウスで飲食店舗を開業するときの費用の相場

コンテナハウスを利用して飲食店を開業する場合、本体価格だけでなく工事や維持費も含めて考える必要があります。ここではコンテナハウス本体にかかる費用や、初期費用、その他費用の相場について紹介します。
コンテナハウス本体の費用
コンテナハウスは新品のものを購入するほか、中古品を購入して再利用する方法もあります。仮に中古コンテナハウスを購入した場合、かかる費用相場は小さいもので16万円からです。
サイズ別に大まかな費用相場をあげると、下記のとおりです。
- 12ft:約500,000円~
- 20ft:約850,000円~
- 40ft:約1,600,000円~
上記はあくまでコンテナハウス本体のみの価格のため、飲食店として利用するための施工費などは含まれていません。
初期費用
コンテナハウスを飲食店として利用できるようにするためには、基礎工事や電気工事、水道やガスなどの設備工事も行う必要があります。コンテナハウス本体以外にかかる初期費用の大まかな内訳は下記のとおりです。
- 基礎工事:約130,000円~
- 電気工事:約100,000円~
- 給排水設備工事:約1,000,000円~
相場の200万~300万円には、上記の工事費用に外装や内装の建材費、空調などカスタマイズの加算も含まれています。ただし材質や設置する設備によっては、さらに費用は膨らみます。
その他の費用
コンテナハウスも建物(固定資産)に分類されるため、固定資産税が発生します。ほかにも長く建物を維持するための防錆加工やシロアリ駆除・予防費用など、定期的にかかる各種施工費が必要です。
また、従業員を雇う場合は給料や社会保険料なども発生します。経営したい飲食店の規模や内容に対して、どの程度の費用がかかるのが、事前によく調査しておきましょう。
コンテナハウス店舗開業にかかる資金について下記の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
コンテナハウスで飲食店舗を開業するときの注意点

最後に、コンテナハウスで開業するときの注意点を2つ紹介します。事前に理解したうえで対処しておかなくては、行政とのトラブルに発展する場合もあるため、確認しておきましょう。
建築基準と法律への適合を最優先にする
常設の店舗としてコンテナハウスを利用する場合、建築物として各種法令に適合させる必要があります。
ここでいう法令とは、建築基準法、地域の条例、消防法、および保健所などの関連規定を指します。これに伴い、コンテナ本体が建築素材として適法であるかも確認しなければなりません。
例えば、コンテナがJIS規格などに適合しない場合、建築物としては違反建築物となり、建築確認申請を行っても確認済証の交付は受けられません。
建築基準法をはじめとする法令に適合しないコンテナハウスは、違反建築物とみなされ、是正指導や是正命令の対象となります。必ず法令に基づいて計画を立てましょう。
飲食店開業に必要な資格を取得する
コンテナハウスで飲食店を開業するには、通常の飲食店と同じく、食品衛生責任者の資格取得もしくは保有者の配置や、防火管理者の選定(収容規模が30人以上の場合)も求められます。
また、テイクアウトで酒類の販売を行う場合は酒類販売業免許、手作りのお菓子やパンを販売するのであれば菓子製造業許可も必要です。必要な資格は販売内容によって異なります。
また、資格取得の流れや方法は、各自治体や各保健所によってルールが異なります。許可申請をする前に管轄の保健所で確認しましょう。
水回り工事は専門家に依頼する
コンテナハウスの水回り工事は、必ず専門家へ依頼する必要があります。
これは給排水設備や電気配線工事には、有資格者による適切な管理や行政への手続きが必要のためです。特に、コンテナは通常の建物より水が漏れやすいため、徹底した防水工事が求められます。
水回りをはじめとしたインフラ整備は、専門家に依頼することで、法令を遵守しつつ対策を確実に施工できます。
中古のコンテナ活用は慎重に
中古コンテナ活用は、違反建築物として是正指導や命令の対象となり得るため、特に慎重な検討が必要です。
特に海外製の場合、材質が日本のJIS規格に適合せず、コンテナの強度も不明瞭なケースが多々見られます。このような場合、結果的に中古品ならではの格安感のメリットは薄れてしまいます。
中古コンテナは、素材や状態を十分確認したうえで活用しましょう。
必要書類に漏れがないか確認する

飲食店を開業するための必要な書類に漏れがないか、入念に確認しましょう。準備を要する書類は下記のとおりです。
- 食品営業許可申請
- 防火対象物使用開始届出書
- 各種保険加入手続き
- 個人事業の開廃業届出書
また、飲食の形態によっては、下記の書類も申請する必要があります。
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
- 菓子製造業許可
- 防火管理者選任届
上記は飲食店の開業に必要な書類ですが、開業によって個人事業主になる場合は「青色申告承認申請書」の提出をおすすめします。
個人事業主の確定申告では「白色申告」「青色申告」の2種類がありますが、青色申告のほうが税金を安く抑えることが可能です。白色申告よりも作成には手間がかかりますが、少しでも節税したい場合は青色申告にしましょう。
コンテナハウスの活用例をチェックする
コンテナハウスはサイズが決まっており、単体では店舗の規模が限られる場合があります。ただし、コンテナハウスは複数使用すれば様々な活用が可能です。例えばコンテナハウスを隣に並べて壁を取り除いて連結したり、縦に積み重ねて2階建て、3階建てにしたりすることで柔軟に活用できます。
書籍やインターネットなどに記載されているコンテナハウスの活用例をチェックし、どのようなお店にするのか参考にしてみるとよいでしょう。またコンテナハウスの活用例については、下記の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
コンテナハウスで飲食店舗開業するならHIRAKELもおすすすめ
コンテナハウスでの店舗を始めるなら、HIRAKELのモバイルコンテナも魅力的な選択肢です。おしゃれなデザインと使いやすさを兼ね備え、低コストですぐに店舗運営を始められる点が指示されています。
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- 組立や解体が可能だから、場所を選ばず設置できる
- 出店やイベントの実績豊富で、さまざまなケースに対応可能
- 最短2ヶ月程度の工期で出店可能
低コストかつ手軽に、デザイン性の高い店舗を開業できます。

また、「開業に不安がある」「期間限定で始めてみたい」といった方はHIRAKELレンタルを検討してください。モバイルコンテナなら本格的なコンテナハウスが1日間レンタルで49,500円(税込)から利用できるので、これまで飲食店や屋台を経営したことがない方でも安心です。

まとめ
コンテナハウスで飲食店を開業すると、個性的な外観が話題を呼び、集客ができます 。コンテナは耐久性や強度も高く、さらに移転のしやすさというメリットもあるため、長期的な営業や将来的な店舗展開を検討している方にもおすすめです 。
ただし、コンテナハウスは一般的な木造建築に近い費用がかかる場合もある点は理解しておきましょう 。また、常設店舗とする場合は、建築基準法をはじめとする各種法令を遵守する必要があるため、中古コンテナを活用する際は、特に慎重な検討が必要です。
手軽におしゃれな飲食店を出店したい方は、可動式のコンパクトで個性が光るモバイルコンテナを提供しているHIRAKELをぜひご検討ください 。

