
これから店舗を開業するなら、コンテナハウスの店舗を構えてみるのはいかがでしょうか。無骨な印象を与えるコンテナですが、工夫次第でおしゃれな店舗にすることができます。
今回は、おしゃれなコンテナ店舗づくりに必要な準備を、4つのステップに沿って解説します。また、実際の店舗の事例とともにおしゃれにするアイデア、コンテナハウスの店舗を建設する際の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
店舗用コンテナハウスのメリット・デメリット
コンテナハウスは、住居として利用する人もいるほど、世界中で普及している建物です。木造やコンクリート造の建築物とは異なるため、コンテナハウスを店舗として利用したいと考えている方は、事前にメリット・デメリットを理解しておきましょう。
メリット
コンテナハウスが店舗として広く利用されている背景には、以下のようなメリットがあります。
◎コストを抑えることができる
重量鉄骨造の建築物を店舗にしようとすると、高い建築費用がかかります。コンテナハウスは、木造建築物と同じくらいのコストで重量鉄骨造の店舗が手に入るため、耐久性を担保しながらコストを抑えることが可能です。
また、内外装のデザインやコンテナハウスのサイズ、工事内容によっては、さらに低い予算で店舗をもてる点もメリットといえるでしょう。
◎工事の期間が短い
コンテナハウスは、建築物に比べ工事の期間が短い点もメリットです。基礎工事が完了すれば、コンテナを運搬して設置するだけで完了します。
基礎工事は、小規模のものだと数日程度で済むケースも多く、一般的な建物の工事と比べて大幅に工事期間が短いのが特徴です。そのため、長期間の騒音で近隣からクレームがくるということを避けられます。
◎デザインが比較的自由にできる
コンテナハウスは、外装を好きな色に塗り替えたり、ウォールアートを描いたりと、自由にデザインを楽しめます。飲食店では、コンセプトづくりやブランディングが売上を大きく左右するため、独自性のあるデザインにできることは強みです。
また、内装も素材の貼り付けやペイントでオリジナルの空間を作れるほか、窓の位置や大きさも変更可能です。目を引くデザインに仕上げれば、SNSや口コミでも話題になりやすく、コンテナハウス自体を広告塔にできるかもしれません。
さらに、増築や減築などカスタマイズ性能も高いのが特徴です。はじめは1つのコンテナハウスからスタートして、お客さまの増加に伴い増築したり、サイズ違いのコンテナハウスを2つ並べて、提供スペースとキッチンとで分けたりすることもできます。
◎耐久性に優れている
一般的なコンテナは、長距離輸送の振動を耐える丈夫さを持っています。それに加え、建築用に使われるコンテナは、鉄が厚く構造物としてより高い強度を誇っており、塩害対策も行われているのです。
一般的な木造建築物と同等程度の価格で、耐久性に優れた店舗となり、新品のものを購入すれば約40年使えるといわれています。
さらに詳しいメリットが知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
デメリット
多くのメリットがあるコンテナハウスですが、デメリットも少なからず存在します。コンテナハウスでの店舗開業を検討する際は、デメリットも踏まえて考えましょう。
×設置場所が限られる
コンテナハウスは、土地があればどこでも設置できるものではありません。コンテナを運搬するために、十分な幅のある道が隣接している必要があります。
また、クレーンで吊り下げて設置するため、ビルや電線など高さのある障害物が近くにある場合も設置できません。
コンテナハウスの導入を検討する際は、将来的に増築することも視野に入れながら、あらかじめ設置場所を決めておきましょう。
×熱がこもりやすい
コンテナハウスは、鉄の箱のような構造になっており、熱がこもりやすい性質を持っています。外気温の影響を受けやすいため、断熱対策を施さないと夏は暑く、冬は寒い室内になってしまいます。
店舗として利用する場合は、快適に過ごせるように断熱対策もしっかり行っておきましょう。
×固定資産税がかかる
コンテナハウスは構造部を固定して地面と接着させるため、固定資産税がかかります。建造物と見なされ、建築基準法も適用されるので注意しましょう。
移設可能な点で似ているトレーラーハウスは固定資産税がかからないため混同されがちです。コンテナハウスを利用して開業する際はきちんと覚えておきましょう。
なお、コンテナハウスの固定資産税については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
店舗用コンテナハウスの気になる費用は?
店舗用コンテナハウスの導入を検討する際、最も気になるのは費用のことではないでしょうか。新品の購入だけでなく、コストを抑えるために中古のコンテナハウスを再利用する選択肢もあります。
中古であれば、12フィートサイズのものが約16万円から、20フィートであれば約18万円から、そして40フィートの大きなものでも約28万円からと、初期費用を比較的手頃な価格に抑えられます。
しかし、コンテナハウスを店舗として機能させるためには、購入費用だけでなく、その他の費用も考慮する必要があることも忘れてはいけません。
設置する土地の賃貸料、コンテナを現地まで運ぶ輸送費、コンテナを安全に設置するための基礎工事費など、初期投資として必要な費用は多岐にわたります。
【飲食開業】おしゃれな店舗用コンテナハウスの作り方
まずは店舗用コンテナハウスを建設にあたり、決めるべきことを4つ解説します。
Step1 コンセプトを決める
飲食店の経営を成功させるためには、明確なコンセプトを決めることが必要不可欠です。独自性のある店舗づくりにつながり、競合との差別化やリピーター獲得につながります。
コンセプトを決めるときは、以下の7W2Hを意識してみてください。
・Why:なぜ
・When:いつ
・Where:どこで
・What:何を
・Who:誰が
・whom:誰に
・which:どれ
・How:どのように
・How much:いくらで
加えて、以下のような質問を考えることで、コンセプトをつかみやすくなります。
・店舗をどのような雰囲気にしたいか
・どんな商品を提供したいか
・ターゲットはどんな層か
・ターゲット層が好む商品やメニューはなにか
Step2 設置する土地を考える
コンセプトを決めたら、次は店舗をどこに出店するのかを考えます。出店する土地により、お客さまの年代や性別は変わります。ターゲットにしたい層が集まる土地を選べば、店舗経営が成功する可能性も高まるでしょう。
ただし、コンセプトが近いお店が近くにあると、お客さまを奪い合う形となり、思ったより売り上げが上がらないことも考えられます。出店する土地を決めたら、近隣にある競合他店を調査し、安定して利益を獲得できそうか検討してみてください。
また、土地の環境によっては、建設時の注意点が増えることもあります。
・海辺の近くなら、潮風によるサビを防ぐため防錆対策をする
・雪の降る土地なら防寒設備を強化する
など、その土地ならではの対策が必要かどうか、あわせて確認することが大切です。
Step3 サービス方式を考える
サービス方式には2つの選択肢があります。どちらを選ぶかによって内装で意識すべきことが変わってくるので、よく検討しましょう。
フルサービス方式
席に着いたお客さまへの注文取りから商品の提供まで、スタッフがその都度移動して行う方式です。フロア内でスタッフが動きやすい動線を確保する必要があります。
セルフサービス方式
お客さまが商品の注文をレジ前や店舗カウンター前で済ませ、商品を受け取ってから席に着く方式です。お客さまがスムーズに移動できる動線確保を目指しましょう。
Step4 内装にこだわる
おしゃれな飲食店を始めたいなら、外観はもちろん、内装にもこだわるべきです。外観と内装のデザインを揃えれば、スタイリッシュな雰囲気になり、統一感が生まれます。
なお、コンテナの種類は建設用を選びましょう。建設用コンテナは壁を自由に開口できるため、内装の自由度も高くなります。
建設にあたっては、機能性を重視しつつ、遊び心や店舗独自の工夫も取り入れてみてください。店舗ならではのこだわりがあれば、お店を宣伝する際のアピールポイントになり、お客さまの興味・関心を惹きつけることにもつながります。
店舗用コンテナハウスをおしゃれに内装・外装する具体的なポイント
無機質な印象のあるコンテナですが、センス良く仕上げることで個性的かつ集客力のある空間に変身させることが可能です。ここでは、店舗用コンテナハウスをおしゃれに仕上げるための具体的な内装・外装のポイントを紹介します。
コンテナそのものを活かす
コンテナハウスの魅力のひとつは、その「無骨さ」にあります。工業的な印象を持つメタリックな外観は、むしろデザインとして活かすことで、唯一無二の存在感を演出できます。例えば、外壁の波板や鉄製のドアをあえてそのまま使用し、インダストリアルテイストで統一するのがおすすめです。
内装にも、コンクリート調の床やアイアン素材の什器を組み合わせることで、コンテナ特有の重厚感と洗練さを両立できます。あえて塗装をせず、サビや風合いを活かすデザインも良いでしょう。
色味を工夫する
コンテナハウスの色味を工夫するだけでも、おしゃれに見せることができます。ただ単に好きな色を選ぶのではなく、ベースカラーとメインカラー、アクセントカラーをコンセプトに合わせて決め、配色の割合を考えましょう。
ベースカラーは、基本となる色のため壁や床、天井など広い面積に使用します。ベースカラーは、全体の7割ほどで配色すると美しいといわれています。
メインカラーは、主要な設備や什器などに取り入れます。全体の2割程度の配色にするとバランスが良いでしょう。残りの1割は、アクセントカラーです。小物やロゴなどに取り入れてみてください。
基本的な配色パターンを実践すれば、おしゃれなコンテナハウスが仕上がります。
開放感を出す
コンテナハウスは構造上、横幅や天井の高さが限られており、閉鎖的な印象を与える傾向があります。ゆえに「開放感を意識した設計」が重要です。まず、不要な什器や装飾を控え、できる限り空間にゆとりを持たせましょう。動線をシンプルにすれば、店内の移動もしやすく、来店者にストレスを与えません。
また、2台以上のコンテナを連結する際は、間の壁を取り除いて1つの広い空間としてデザインすることで、圧迫感を軽減できます。さらに、一面を大きな窓にすれば、自然光をたっぷり取り入れ、開放的で爽やかな印象になります。
2階建て・ロフト付きにする
建築用コンテナは積み重ねて使うことが可能です。例えば、20フィートや40フィートのコンテナを上下半分に切断し、それぞれを活用して立体的な空間を構築できます。ロフト部分を客席にすれば、1階の販売スペースと分けて使えるため動線もスムーズです。さらに、コンテナを上下に重ねて運搬すれば、運搬コストも抑えられます。
【用途別】おしゃれな店舗用コンテナハウスの活用事例
コンテナハウスは可搬性やカスタマイズ性の高さから、さまざまな業態で活用されています。ここでは、用途別にコンテナハウスの活用事例を紹介します。
カフェスタイル
コンテナハウスを使ったカフェは、他にはないユニークな外観で注目を集めやすく、インスタ映えやSNSでの拡散にも効果的です。デザインのポイントとしては、木目調の素材にブラックやホワイトを組み合わせて、ナチュラルかつ高級感のある雰囲気を演出するのがおすすめです。
ウッドデッキやテラス席を設ければ、リゾートカフェのようなリラックスした空間に早変わりします。また、大きな窓やガラス扉を採用することで、自然光を取り入れ開放的な印象になります。さらに、ガラス×アイアン素材でまとめたインダストリアルデザインも人気です。
テイクアウト専門店
コンテナハウスは短期間での開業が可能で、低コストなのが魅力です。ゆえに、近年注目されている「テイクアウト専門店」にぴったりの形態です。限られたスペースに必要最低限の設備を効率良く配置すれば、スムーズに販売できます。外観は、目を引くカラーリングやユニークな照明で演出すると効果的です。
例えば、赤・白・青を使った星条旗風のデザインでアメリカンダイナー風に仕上げる、あるいはネオンサインやレトロなメニューボードを取り入れてノスタルジックな雰囲気を演出するのもおすすめです。ホットドッグやハンバーガーといったアメリカンフードとの相性も抜群で、テーマ性を強く打ち出せば話題性の高い店舗になるでしょう。
イベント向け屋台
フェスやマルシェ、季節イベントに出店する際には、移動可能なコンテナ屋台が重宝されます。設営や撤去が簡単で、限られたスペースにも対応できるため、期間限定の店舗展開にもぴったりです。デザイン面では、来場者の目を引くキャッチーな外観が重要です。
例えば、パステルカラーを使って可愛らしい印象を与えたり、テーマに沿ったカラーリングで統一感を出したりするのが良いでしょう。
夏祭り向けには、赤ちょうちんや木製カウンターをあしらった「レトロ屋台風」に、地ビールイベントには木樽モチーフの外観など、イベントのテーマに合わせて装飾を工夫すれば、思わず写真を撮りたくなる魅力的な店舗を演出できます。
店舗用コンテナハウスをおしゃれに設計する際の注意点
コンテナ店舗を建設するにあたっては、5つの注意点があります。それぞれ詳しく紹介します。
建築基準法を守る
建物を建てる際は、建築基準法を守らなければなりません。コンテナ店舗を建てる場合も同様です。事前に建築確認申請を行い、許可を受けてから建設を始めましょう。
水回りの設備や、電気の工事に関しても規定が設けられています。外観や内装にこだわる前に、まずは規定を守ることを優先しましょう。
建築基準法を守っていないコンテナ店舗を建ててしまった場合、撤去を求められる可能性もあるため、注意してください。
JIS規格のコンテナハウスを使う
コンテナハウスで店舗開業する際、安全性や法的適合性に考慮したものを選ぶことが重要です。特に、ISO規格の海上輸送コンテナは、海上輸送での使用を目的に設計されているため、日本の建築基準法に適合しないリスクがあります。
建築基準法に適合したコンテナハウスを探す際には、JIS(日本工業規格)に合致しているものを選ぶことが重要です。JIS規格のコンテナハウスを使うことにより、建築基準法の厳しい要件をクリアするだけでなく、耐震性や耐火性など、日本特有の気候や地理的条件に適した設計基準を満たすことが可能となります。
また、JIS規格に準拠したコンテナハウスは、品質管理が徹底されているため、長期にわたる使用においても高い耐久性を保つことができます。
断熱対策を十分に行う
建設用コンテナの中には、断熱用の素材が使われていないものもあります。断熱性能は、快適な空間づくりに欠かせません。
暑い日も寒い日もお客さまが心地良く過ごせるよう、断熱性能の整ったコンテナを選びましょう。
実用性を確保する
内装をスタイリッシュに仕上げることは重要ですが、店舗としての「使いやすさ」を犠牲にしては意味がありません。例えば、見た目を優先するあまり収納スペースや厨房の作業スペースが不足してしまうと、営業効率が大幅に下がってしまいます。
そこで、設計段階で一日の業務フローをイメージしながら、スタッフがスムーズに動ける動線を確保しましょう。厨房機器や冷蔵庫の配置を先に決め、それに合わせてカウンターや収納棚を配置するのがコツです。
出店場所の雰囲気に合わせたデザインを選定する
コンテナハウスは外観デザインの自由度が高い反面、周囲の環境との調和を意識しなければ、悪目立ちしてしまうリスクもあります。例えば、自然豊かな地域に原色系の派手な外観を持ち込むと、景観を損ねるだけでなく、地域の反感を買ってしまうことも少なくありません。
そのため、出店するエリアの雰囲気やターゲット層に合わせて、色合いや素材、装飾のトーンを調整することが大切です。「統一感」「清潔感」「コンセプトの一貫性」を意識し、周囲に自然に溶け込むデザインを心がけましょう。
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HIRAKELが提供しているモバイルコンテナはコンテナハウスのような見た目をした店舗です。車輪が付いており、移動可能なため建築確認が要りません。低予算・短納期で、おしゃれなモバイルコンテナをオープンすることができます。
まとめ
飲食店を経営するにあたり、一から店舗を建設するためにはまとまった予算と期間が必要です。HIRAKELのモバイルコンテナなら、予算を抑え、短い期間での経営スタートが叶います。おしゃれな外観や内装づくりもできるので、ぜひモバイルコンテナを始めてみてはいかがでしょうか。