
地域活性化の事例として、観光や農業、教育など多様な地域資源を活かしたプロジェクトが全国で進められています。地域活性化は一度きりのイベントではなく、長期的な取り組みが必要です。
今回は、実際に行われている地域活性化の事例と、それらに共通する成功のポイントを3つ紹介します。
目次
地域活性化とは

地域活性化とは、特定の地域における経済や文化、社会活動を活性化し、その魅力や暮らしやすさを高める取り組みを指します。背景には「少子高齢化による人口の減少」と「東京圏への人口集中」という課題があります。
総務省統計局が公表した2024年のデータによると、東京圏への日本人の転入超過数は11万9337人に上り、29年連続で転入超過となりました。
この状況は、地域経済が縮小するだけでなく、雇用や税収の減少、文化や伝統の消失につながります。住民の生活に深刻な影響を及ぼすため、解決が求められています。
各分野における地域活性化の成功事例をピックアップ

全国では、地域活性化に取り組んでいる企業や自治体が数多くあります。この章では、観光・街づくり・地域産業・農業・教育の分野で実施されている地域活性化プロジェクトの事例を紹介します。
【観光】地域の自然・食などを活かした体験プログラム
長野県飯田市は、観光客が食事や休憩で立ち寄るだけの「通過型観光地」から、「滞在型観光地」へ転換を進めました。その一環として、体験教育旅行を誘致し、2001年に設立された株式会社南信州観光公社が業務を引き継ぎました。住民がインストラクターを務め、農家民泊をはじめ地域の食文化や自然、歴史を体験できる本プログラムを提供しています。
これにより、農家民泊が増加し、周辺宿泊施設の利用者も拡大しました。その結果、観光やビジネスで訪れる交流人口の増加につながっています。
【街づくり】空き地を活用した多世代交流施設
佐賀県佐賀市の「わいわい!!コンテナ」は、中心市街地のにぎわい創出を目的とした社会実験プロジェクトです。空き地に、中古コンテナを活用した「読書コンテナ」や「チャレンジコンテナ」を設置しました。読書コンテナでは国内外の雑誌やマンガを自由に楽しめ、チャレンジコンテナでは個展や出店の機会を提供しています。これらは誰もが自由に利用できるコミュニティスペースとして運営されています。
その結果、街なかを訪れる人や滞在時間が増加し、回遊性も向上しました。さらに隣接地には飲食店が出店し、商店街の空き店舗には学生向けシェアハウスが開業するなど新しい動きが生まれています。
ユニットレンタルの開業やレンタル料金について以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
【地域産業】農産物を原料とした加工品の開発・販売
「株式会社吉田ふるさと村」は、人口流出や高齢化が進む、島根県雲南市吉田町の地域産業と雇用の確保を目的に設立しました。主な事業は、地元の農産物を加工した商品の開発・販売です。加えて雲南市民バスの運転業務や水道施設管理業務も行っています。
2019年時点での売上高は3億7684万円、雇用者数は61人に達し、地域経済の活性化や雇用創出に寄与しました。
特に、たまごかけごはん専用醤油「おたまはん」は、2020年までに累計372万本を販売しています。現在もふるさと納税の返礼品として高い人気を誇ります。
【農業】地域と作物の特性に考慮した「たまねぎ栽培」
富山県砺波市・南砺市にあるJAとなみ野は、米の生産調整や価格の下落などによる農業所得の減少に対応するために、たまねぎ栽培を推進しています。
たまねぎは水稲と作業時期が重ならず、農家が持つ大型機械も利用できるため、地域の特性に合致し、北陸最大の産地として成長しました。家庭や学校給食の需要も高く、取り組み4年目の2012年には販売額が1億2900万円、2015年には2億7100万円を達成しています。「雪たまねぎ」としてブランド化も進めています。
【教育】人口流出を防ぐ高校魅力化プロジェクト
島根県立隠岐島前高等学校は、生徒数減少による廃校の危機と人口流出を防ぐため「高校魅力化プロジェクト」を始めました。生徒・保護者・地域住民にとって、魅力的な学校にすることを目指した取り組みです。
全国から意欲的な生徒を募集する「島留学」制度により生徒数が増加しています。「地域学」「地域生活学」などの活動が、地域の魅力を再発見させ、若者の流出を抑制しました。加えて、大学進学後に地域へ戻り就業する卒業生も増え、文化や産業の発展に貢献しています。
イベント集客を成功に導くポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
成功事例に共通する3つのポイント

地域活性化を成功させるには、押さえたいポイントが3つあります。上記で紹介した地域活性化の事例にも共通する要素であるため、実際に活動を始める前に確認しておきましょう。
地域課題の発見と地域資源の活用
地域活性化に取り組むには、まず地域が抱える課題と資源を把握する必要があります。地域資源とは、人や自然、文化、産業など、地域固有の強みを指します。
課題が生活や経済に与えている影響を理解したうえで、ニーズに合った地域資源の使い方を検討しましょう。空き家や遊休施設など、一見不要に見えるものも新しい活用方法を探ることで、独創的なプロジェクトになり、地域活性化の糸口になります。
地元住民と地域に関わる人々の参加
地域活性化は、住民が豊かに暮らせる環境づくりを目的とするため、住民参加が欠かせません。また、その地域の出身者やワーケーションで訪れる人など、地域と継続的に関わる関係人口を増やすことも重要です。
関係人口は、地域に高い関心を持ち、新しい視点やスキルを持ち込み、経済や文化の担い手として貢献しています。そのため、住民が自由にアイディアを話し合えるワークショップや、特産品をPRできるマルシェなど、世代や地域を超えた交流の場を設けると良いでしょう。
持続可能なプロジェクト
地域活性化には、一時的に効果を生むものではなく、長期にわたって続けられる仕組みが必要です。一時的に経済活動が活発になっても、継続できなければ根本的な解決にはなりません。
そのため、人件費や必要人員を計算し、収益を確保できるプロジェクト設計が大切です。こうした取り組みが、地域経済の活性化や雇用創出につながり、人々が安心して長く暮らせる地域をつくります。
また、国や自治体の補助金・助成金も有効な資金調達手段となるため、利用可能な制度を確認し、必要に応じて申請を進めることが推奨されます。
マルシェやマルシェ出店について以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
まとめ

地域活性化を成功させるには、地域課題に最適な地域資源を活用した持続可能なプロジェクトの構築が必要です。同時に、住民と関係人口の参加や協力も欠かせません。
その手段の一つが、マルシェやイベントを開催し、地域の魅力を伝えながら住民と地域外の人々が交流する場を設ける取り組みです。
こうした交流の場づくりには、HIRAKELの「モバイルコンテナ」を活用する事例もあります。初期費用を抑えつつ、シンプルでデザイン性の高い空間を実現できます。
移動や組立・解体が簡単で、基本的に建築申請は不要のため、空き地を活用したプロジェクトを検討している企業や自治体にとって、有効な選択肢となるでしょう。

