
近年、キッチンカー開業は注目されていますが「キッチンカーはやめとけ」と言われることも少なくありません。実際には売上が安定せず、出店場所の確保や維持費の負担によって廃業に至るケースがあるためです。今回は、失敗の主な原因と、その回避方法を紹介します。
目次
キッチンカー開業後の廃業率は高い

前提としてキッチンカーを含む飲食業界全体の廃業率は非常に高い水準にあります。2024年の中小企業庁の調査によると、飲食サービス業(宿泊業含む)の開業率は6.9%、廃業率は5.0%で全業種のなかで最も高い数値です。
飲食店は、参入しやすい一方で廃業率も高いのが特徴です。キッチンカーに限らず、店舗型であっても賃料や食材費といった経常的な経費が大きいため、十分な売上がないと事業の継続は困難になります。
そのため、飲食業界で成功するためには、開業前から開業後まで、入念な準備が欠かせません。特にキッチンカーの場合、出店場所の確保やメニュー戦略など、事前の計画性が成果を左右します。
キッチンカーはやめとけといわれる5つの理由

キッチンカービジネスは参入しやすいものの「やめたほうがいい」と言われることも少なくありません。ここでは、その理由を5つ紹介します。
出店場所を確保するのが難しい
キッチンカーの強みは移動できる点ですが、営業許可や場所の確保は簡単ではありません。出店場所は売上に直結するため、安定した収益を得るには地道な営業活動や交渉が必要です。
特にオフィス街のような人気エリアは競争が激しく、新規参入は困難です。イベント出店は集客が見込める一方、期間が限られ、場所代も発生するため、収益が安定するとは限りません。
収入が安定しない
キッチンカーの売上は天候に大きく左右されます。雨や強風の日は客足が減り、安定した売上を確保しにくいのが課題です。さらに、客単価が低く、常連客の獲得も難しいといったデメリットも挙げられます。
季節による気温の変化はもちろん、晴れの日や雨の日で臨機応変に対応できると売上が大幅に下がる可能性は低いでしょう。雨の日限定メニューなどは、集客ポイントにもなります。
メニューを増やしすぎると、コンセプトがぼやけ、固定客がつきにくくなるため、商品は絞り込む必要があります。
キッチンカーのメニュー作りについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
開業手続きが面倒くさい
キッチンカーの開業には、いくつかの資格と許可の取得が必要です。まず、食品を扱うために食品衛生責任者を取得します。これは1日程度の講習で取得可能です。
次に、保健所で食品営業許可を取得します。この際、キッチンカーの設備が地域の衛生基準を満たしているか、細かくチェックされます。
さらに、出店場所に応じて追加の許可が必要です。公道で営業する場合は道路使用許可、公園やイベント会場では管理者の許可を取得しなければなりません。開業までに必要な手続きが多く、時間も労力もかかりますが、安全に営業するために不可欠です。
飲食店の開業手続きや資格について、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
まとまった初期費用が必要になる
キッチンカーの開業には、想像以上に多くの初期費用がかかります。車両の購入やレンタル費用に加え、給排水タンクや換気扇などのキッチン設備を搭載するための改造費が挙げられます。さらに、調理器具や食器類、営業に使う備品の購入費用も必要です。
また、各種許認可の取得費用や、開業後の仕入れ、場所代、広告宣伝費といった当面の運転資金も不可欠です。これらの費用を合計すると、数百万円に達することもあり、「キッチンカーはやめとけ」と言われる大きな理由の一つです。
体力や精神面の負担が大きい
キッチンカーでの仕事は、体力と精神力を消耗します。限られたキッチンスペースでの調理は、基本的には立ちっぱなしが基本で、十分な休憩をとるのも難しい環境です。
また、営業は屋外が中心のため、夏は暑さ、冬は寒さが厳しく、厳しい気候にさらされます。メニューの仕込みから調理、販売、後片付けまでを一人で担うことも多く、重労働で体力的な負担も大きいのが現実です。
肉体的な疲労だけでなく精神的なストレスも蓄積しやすくなります。
キッチンカーで失敗しやすい人の特徴

キッチンカーの廃業率が高い一方で、2台目を出店したり、実店舗をオープンさせたりする成功者もいます。似たようなメニューを取り扱っていても、失敗する方もいれば成功する方もいます。その違いは、開業で失敗しやすい要素をもっているかどうかです。
キッチンカーを開業しても失敗してしまう方の特徴を紹介します。
マルチタスクができない
キッチンカー運営は、一人で多岐にわたる業務をこなす必要があります。調理や接客だけでなく、営業をしない時間も、仕込み、食材の仕入れと在庫管理、会計といった経理業務、さらにはSNSを活用した情報発信や集客まで、すべてを担う必要があります。
効率的な作業動線の工夫や、調理技術の向上も欠かせません。複数の作業を同時に進める力がないと大きな負担となります。マルチタスクが苦手な方には大きな負担となる可能性があります。
変化に対応できない
キッチンカービジネスでは、常に試行錯誤を繰り返し、変化に対応できる柔軟性が必要です。キッチンカーの運営では、天候の急変による客足の減少や、突然の出店場所の変更、売上の不安定な波など、予期せぬ出来事が日常的に起こるためです。
変化に対応できずストレスを抱え込むと、精神的に続けるのが難しくなるでしょう。計画通りにいかなくても楽しめるくらいの強いメンタルと、柔軟な思考が求められます。
経理業務ができない
美味しい料理を作る技術だけでは、キッチンカーで成功するのは難しいでしょう。売上や経費の管理、場所の確保に向けた交渉、各種書類の作成など、地道な事務作業を避けて通ることはできません。
数字の管理や事務作業が苦手な方は、開業後に苦労する可能性が高まります。料理だけでなく経営スキルも必要になることを理解しておきましょう。
飲食店経営に欠かせない利益率を上げる方法は、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
人の意見に耳を貸さない
キッチンカーに限らず、経営で自分を過信しすぎると視野が狭くなり、失敗するリスクが高くなってしまいます。視野を広げるためにはほかのオーナーや取引業者など周囲からの助言を真摯に受け止めたうえで、適宜改善していく姿勢が重要です。
キッチンカーはどこにでも行けるだけでなく、顧客との距離が非常に近くなります。商品に関する率直な感想や意見なども聞きやすい環境でもあります。
現場でしか得られない声をもとに商品やサービスの質を上げたり、ニーズや時代に合った新しい商品を考えたりと事業の成長につなげると、失敗リスクを軽減できます。
理想を追い求めすぎている
自分の「理想」だけを追求している方は、キッチンカービジネスでも失敗しやすいです。例えば、時代や場所のニーズに合っていないメニューを出したり、知名度が低すぎて購買意欲が起きにくいメニューを出したりしていると、売上は伸び悩みます。
周囲とのメニュー被りは避けるべきですが、珍しければ珍しいほど売れるとも限りません。経営の継続を視野に入れるのであれば、キッチンカーの開業後は理想の追求だけではなく、顧客のニーズを取り入れる柔軟性も重要です。
キッチンカー開業を成功に導く方法

キッチンカーで成功するために大事な点は、事前にしっかりとした計画を立てた準備です。予算や計画について不安がある方は、キッチンカーの製作会社などプロに相談する方法もおすすめです。
キッチンカー開業を成功に導くポイントを4つ紹介します。
事業計画を綿密に策定する
綿密な事業計画を作成できたかどうかが、成功を左右します。事業計画は、主に下記の計画を総合的にまとめたものです。
- 販売計画
- 仕入計画
- 資金計画
- 売上予測
- 支払計画
- 返済計画
収益を上げるためには、商品を生産し、安定的に販売する必要があります。計画なしに出店しても、出店場所の客層に合わなかったり、過剰な商品在庫を抱えたりして、赤字を招く可能性もあります。
逆に、生産した商品が少なすぎると、販売機会を失うリスクもあるでしょう。過剰な在庫や販売機会の損失を防ぐためには、出店場所の客層や競合店の入念な調査が大切です。
また、商品の生産についても、仕入れ先をどうするか、毎月どの程度の量を仕入れるのか、支払い方法をどうするのかを検討しなければなりません。
各事業計画は、十分な調査を行い、根拠に基づいた実現可能な内容で作成しましょう。
出店場所を見極める
キッチンカーの成功は、出店場所の選び方に大きく左右されます。
出店場所を決める際は、人通りや周辺の環境をよく確認し、どの程度の集客が見込めるかを判断しましょう。来場者が多い場所は売上が期待できますが、出店料も高くなる傾向にあります。最終的に、手元に残る利益が大きくなる場所の選択が重要です。
また、場所によっては「道路占用許可」や「営業許可」が必要です。事前に自治体のウェブサイトなどで確認しておきましょう。
喜ばれるメニューを作る
お客様に喜ばれるメニューの開発は、キッチンカー成功の大きな要素です。魅力的なメニューはお客様を惹きつけ、リピーター獲得にもつながります。
誰に何を提供するのかターゲットを明確にすれば、メニュー開発の方向性が定まります。
また、お客様の印象に残る「看板メニュー」を用意するのも効果的です。他店との差別化になり、お店の個性を際立たせられます。看板メニューをSNSで発信すれば、高い集客効果も期待できるでしょう。
集客にも力を入れる
お店の認知度を向上させるには、集客の工夫が欠かせません。広告費をかけずに幅広い層にアプローチしたいなら、SNSの活用が有効です。
写真や動画での発信に加え、ハッシュタグや位置情報を活用すると効率よくアプローチできます。キャンペーンやクーポンなど、SNS限定の情報を定期的に発信すれば、フォロワーの増加やリピーター獲得につながります。
まとめ

キッチンカービジネスは廃業率が高く課題も多いため「やめとけ」と言われがちです。しかし、失敗の理由を理解し事前に対策を立てれば、成功の可能性は十分あります。事業計画と改善の積み重ねが、安定経営と利益確保につながります。
「挑戦したいが、リスクは抑えたい」と考える方には「HIRAKEL」を選択肢に入れてみてもよいでしょう。「HIRAKEL」のコンテナ型店舗は移動設営が簡単でキッチンカーよりも低コストで利用できます。
シンプルでデザイン性の高い外観はイベントにも常設にも対応でき、レンタルと購入の両方が選べます。小規模に試したい方や開業資金を抑えたい方に最適です。

