キッチンカーの内装には、保健所の検査基準に沿った設備を機能的に配置し、お店のコンセプトを伝える工夫が必要です。
今回は、キッチンカーの内装を考えるうえで重要なポイントや安全性、働きやすさ、デザイン性を兼ね備えた内装にする方法を解説します。
目次
キッチンカーの内装はお店のコンセプトから考える

まずは、販売する商品などお店のコンセプトを明確にしましょう。商品が決まれば、調理に必要な機材や工程、スタッフの人数を把握でき、機能的なレイアウトが考えられます。
そのほか、食材を含む商品が持つイメージやターゲット層が明確になるため、お店の雰囲気やこだわりなどお客様に伝えたいメッセージを表現できます。
キッチンカーの内装における重要点3つ
キッチンカーの内装には、次の3つの要素が求められます。
- 保健所の検査に合格する設備と調理環境
- 作業動線を考慮したレイアウト
- お店のコンセプトを伝えるデザイン
これらをバランスよく整えることで、スムーズな営業と集客効果の両立が可能になります。
保健所の検査に合格する設備と調理環境
キッチンカーを開業するには、保健所の検査に合格し,営業許可を取得する必要があります。検査項目に合格するには、調理場を安全で衛生的に保ち、壁や天井の素材、シンクの数、給排水タンクの容量など、検査基準に沿った内装と設備を整えていきましょう。
床
調理場の床に関する項目では、水や油が飛び散っても衛生的で作業効率が低下しないよう整備することが求められます。具体的には、滑りにくく、掃除しやすい耐水性のある素材を選ぶことがポイントです。
一般的にはコンパネやフローリングマットが使われますが、耐水性・耐久性・防炎性のある縞鋼板も有効です。
また、調理に火を使う場合には、安全性を高めるために防炎素材の使用が推奨されています。加えて、段差をなくしたフラットな構造や、夏場の暑さ対策に断熱材を使用すると、快適性も向上します。
壁・天井
壁や天井は、雨風やほこり、虫の侵入を防ぐ構造であることが保健所の基準です。床と同様に、耐水性の素材を選びましょう。また、火や高温で使用する調理機器のまわりは防炎性・耐熱性のある素材を選びましょう。
表面に凹凸の少ない素材を選ぶと、掃除がしやすく衛生的な環境が保てます。さらに、壁には窓や換気扇、天井には照明を取り付けるため、加工しやすさも素材選びの大切な要素です。
窓
保健所の検査に合格するためには、換気が十分にでき、ほこりや虫の侵入を防げる構造であることが欠かせません。地域によっては網戸の設置が必須となるケースもあります。
キッチンカーの窓には接客と換気の2つの役割があるため、大きめに設けると便利です。メリットは下記のとおりです。
- 商品の受け渡しや会計がスムーズになる
- 効率的な換気ができる
- 調理の様子が見えることで、明るく開放的な印象を与え、親近感や購買意欲を高められる
ガラス窓を設置する際は、高耐熱性のテンパックスガラスのような、安全性の高い素材を選びましょう。キッチンカーの内部は調理や外気の影響で高温になりやすく、熱に弱いガラスは割れるおそれがあります。特に、直火を使う場合は注意が必要です。
設備・機材
調理場に設置するのは、給排水タンクやシンクなどの検査対象設備と、コンロや冷蔵庫といった調理機材です。各機材のサイズを確認し、大型のものから順に車内へ固定します。作業しやすい動線を意識することで、業務効率が向上します。
あわせて注意したいのが、電源装置と照明設備です。地域によっては発電機の自前準備を義務づけていたり、照明の明るさを示すルクス数の基準を設けていたりする場合があります。
複数地域での出店を予定している場合は、各保健所の検査基準を事前に確認し、どんな条件にも対応できるよう準備を進めましょう。
保健所でチェックされる主な項目
保健所では食品衛生法の施設基準に基づき、下記の項目を主に検査します。
- 運転席と調理スペースを間仕切りなどで明確に分ける
- 床・壁・天井は耐水性があり、掃除しやすい平らな素材を使用する
- ほこり・害虫・ねずみの侵入を防ぐ構造にする
- 給排水タンクを設置する(容量例:40l/80l/200l)
- 手洗い用と器具・食材用のシンクを分ける(例:2槽シンク)
- 手洗い用シンクには非接触型の水栓を設置する
- 温度計付き冷蔵庫・冷凍庫を設置する
- 密閉できる廃棄物容器を設置する(不浸透性で液もれや臭いを防ぐもの)
地域によって基準が一部異なる場合があります。出店予定地の保健所で必ず事前に確認しましょう。
作業動線を考慮したレイアウト
限られた調理スペースで効率良く作業するには、機能的なレイアウトが求められます。業務を1人で行うのと複数人で行うのでは動線が異なるため、将来的にスタッフを増やす予定がある場合は、その分の作業スペースを確保しておく必要があります。
販売する商品に合わせた内装
販売したい商品に応じて必要な機材・設備を把握し、調理・盛り付け・受け渡しまでの流れを意識して配置を決めましょう。また、出店先の客層やニーズに応じて商品を変更できるよう、柔軟な内装設計にしておくと便利です。
たとえば、同じ熱源で使える卓上調理器(たこ焼き器・クレープ焼き器など)の活用や、可動式の収納・カウンターの導入を検討すると、対応力の高い内装が実現できます。
スタッフの人数に合わせた内装
キッチンカーの内装は、複数人でも作業しやすい環境づくりが欠かせません。特に、集客が見込まれる週末にスタッフを増やす場合は、調理から商品の受け渡しまでがスムーズに進むよう、設備の配置を工夫する必要があります。
作業人数や、スタッフが持ち場を離れずに動けるかどうかを考慮しながら、レイアウトを決めましょう。トングのような小さな器具も、あらかじめ置き場所を決めておくと、作業がスムーズになります。
伝わる内装デザインのつくり方
キッチンカーの内装は、お店のコンセプトや清潔感を伝える大切な要素です。デザインで伝えたいイメージを表現すれば、注文や受け渡しを待つ時間に、お客様へ安心感や楽しさを感じてもらえます。印象に残る内装は、リピーターの獲得にもつながります。
調理器具も内装の一部
あえて調理器具や食材を見せると、衛生管理や鮮度へのこだわりが伝わりやすくなります。
特に、特殊な器具を窓際に配置したり、器具の色や材質を統一したりすると、清潔感と一体感のある空間に仕上がります。見た目もおしゃれになり、コンセプトの伝達にも効果的です。
色使いと装飾で世界観を表現
コンセプトに沿った色や装飾を取り入れると、お店の世界観をより明確に伝えられます。販売商品に合う色合いを選び、外装とのバランスも意識すると、全体に統一感が生まれます。
あわせて、清潔感を損なわないように心がけましょう。照明の色を雰囲気に合わせて調整するのも効果的です。
まとめ
キッチンカーの内装は、保健所の検査に適合する設備を整え、営業許可を取得できる状態に仕上げる必要があります。ただし、限られたスペースで作業的な作業動線を確保し、安全性や衛生面に配慮した設計にするには、多くの準備と手間がかかります。
そんな中、「もっと手軽に始めたい」と考える方には、HIRAKELの「モバイルコンテナ」も選択肢の一つです。キッチンカーより広く、コストも抑えやすいうえ、移動や設営もスムーズにできます。
まずは小規模から始めてみたい、キッチンカーから始めて将来的には店舗を持ちたい、といった方は、モバイルコンテナの導入も検討してみてはいかがでしょうか。