コンテナハウスでの店舗開業を検討されている方にとって、基礎工事の必要性は重要な判断ポイントです。基礎工事の有無によって、建築確認申請の必要性や設置コスト、移動の自由度が大きく変わります。今回は、コンテナハウスの基礎工事が必要なケースと不要なケース、それぞれの特徴や条件について詳しく解説します。
目次
コンテナハウスの基礎とは?
コンテナハウスの基礎とは、コンテナを安全かつ安定して設置するための土台となる構造物のことです。
一般的な建築物と同様に、コンテナハウスも地面に直接置くのではなく、適切な基礎の上に設置することで、建物の安定性が確保され、長期間の使用に耐えられる構造となります。
基礎工事を行うことで、地震や台風などの自然災害に対する耐性が向上し、地面からの湿気を防ぐ効果も期待できます。
また、建築基準法に基づく適切な設置を行うためにも、基礎工事は重要な要素となります。
そもそも基礎工事とは
基礎工事とは、建築物を安定させるための土台を据える工事のことを指します。建物の重量を地盤に均等に伝達し、地震や風などの外力に対して建物を支える重要な役割を担っています。
基礎工事では、地盤の状態を調査した上で、適切な工法と材料を選択します。一般的には鉄筋コンクリートを使用し、建物の構造や用途、地盤の特性に応じて最適な基礎形式を決定します。
コンテナハウスの場合も、従来の建築物と同様の考え方で基礎工事を行います。ただし、コンテナ自体がすでに堅牢な構造を持っているため、用途や設置条件によっては簡易的な基礎でも十分な場合があります。
コンテナハウスにおける基礎の種類
コンテナハウスの基礎工事では、建築物の特性や用途、地盤の状態によって適切なものを選ぶことになります。主な基礎の種類は以下の通りです。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、建物の床全体に鉄筋コンクリートを打ってつくられる、安定性の高い基礎のことです。この構造により、建物の荷重を底板全体で地盤に均等に伝えることができ、軟弱地盤においても安定した支持力を確保できます。
湿気対策にも優れており、床下全体をコンクリートで覆うため、地面からの湿気の侵入を効果的に防げます。
布基礎
布基礎とは、断面が逆さまのT字型になった鉄筋コンクリートを、建物の壁や柱の下に沿って連続して設置する基礎です。建物の壁や柱の下に沿って設置され、荷重を線状に地盤へ伝達します。
ベタ基礎と比較してコンクリート使用量が少ないため、コストを抑えることができます。
独立基礎
独立基礎とは、建物の四隅や柱の位置など、支えるポイントごとにサイコロ状のコンクリートブロックを設置して建物を支える基礎です。
点で荷重を支えるため、比較的軽量なコンテナハウスに適しています。施工が簡単で工期も短縮できるメリットがあります。
ブロック基礎
ブロック基礎とは、コンクリートブロックを建物の四隅に置いて支える、非常に手軽な基礎のひとつです。小規模なコンテナハウスや一時的な設置に適しています。
ただし、耐久性や安定性は他の基礎と比較して劣るため、用途を慎重に検討する必要があります。
コンテナハウスに基礎工事が必要なケース
コンテナハウスは、建築物とみなされるため、基礎工事が必要となるケースがほとんどです。建築基準法では、コンテナハウスを設置する際には、適切な基礎工事を行い、コンテナと基礎、コンテナ同士を適切に接合することが求められています。
基礎工事を行わないと、建築物として認められないだけでなく、自然災害時の倒壊や傾きなどのリスクが高まります。特に店舗や事務所として人が継続的に利用する場合は、安全性の確保が最重要課題となります。
建築基準法上の建築物として扱われる場合
コンテナハウスは、建築基準法において建築物とみなされるため、原則として基礎工事が必要となります。
建築基準法では、土地に定着する工作物のうち、屋根および柱もしくは壁を有するものを建築物と定義しており、コンテナハウスはこの条件を満たしています。
建築物として扱われる場合、建築確認申請が必要となり、適切な基礎工事を含む構造計算書の提出が求められます。そのため、安全性が法的に保証された建物として認められます。
固定設置の場合
コンテナハウスを移動させずに固定して使用する場合は、建築物として扱われ、基礎工事が必要です。固定設置とは、コンテナを特定の場所に設置し、長期間にわたって移動させない状態を指します。
固定設置のコンテナハウスは、一般的な建築物と同様の扱いを受けるため、建築基準法に適合した基礎工事が義務付けられます。この工事をすることで、建物の安全性と耐久性が確保されます。
店舗や事務所など人が継続的に利用する場合
人が利用するコンテナハウスは、建築物としての要件を満たす必要があり、基礎工事が必須です。特に店舗や事務所として営業する場合は、お客様や従業員の安全を確保するため、適切な基礎工事による構造の安定性が求められます。
人が継続的に利用する建物では、避難経路の確保や耐震性能の向上など、より厳しい基準が適用される場合があります。基礎工事はこれらの要件を満たすための基本的な要素となります。
地震や台風などの自然災害に備える場合
基礎工事を行うことで、コンテナハウスの安定性が向上し、自然災害による被害を軽減できます。日本は地震や台風などの自然災害が多い国であり、建物の耐震性や耐風性は極めて重要です。
適切な基礎工事により、地震時の横揺れに対する抵抗力が向上し、台風時の強風による転倒リスクも大幅に軽減されます。特に営業用途で使用する場合は、事業継続の観点からも基礎工事による安全性の確保が重要です。
湿気対策を行いたい場合
基礎工事を行うことで、コンテナハウスと地面の間に空間ができ、湿気がこもりにくくなり、快適な居住空間を確保できます。コンテナは金属製のため、湿気による結露が発生しやすく、内部環境の悪化や腐食の原因となります。
また、基礎工事により床下に通気性を確保することで、湿気の問題を根本的に解決できます。これは、商品の保管や店舗運営において非常に重要な要素となります。
コンテナハウスに基礎工事が不要なケース
コンテナハウスの基礎工事が不要となるケースは、主に以下の2つです。コンテナハウスが建築物とみなされない場合と、建築確認申請が不要なケースです。
これらの条件を満たす場合、基礎工事にかかるコストと時間を大幅に削減できるため、開業資金を抑えたい事業者にとって魅力的な選択肢となります。
建築基準法上の建築物として扱われない場合
コンテナハウスは、基本的に建築基準法上の「建築物」とみなされます。しかし、以下の条件を満たす場合は、建築物とみなされないため、基礎工事が不要となる場合があります。
随時かつ任意に移動できる状態である場合
車輪が付いており、容易に移動できる状態であれば、建築物とみなされません。この場合、コンテナハウスは「工作物」として扱われ、建築確認申請や基礎工事が不要となります。移動販売や期間限定の店舗運営に適しています。
トレーラーハウスの場合
車両として登録されたトレーラーハウスは、建築物ではなく車両扱いとなるため、基礎工事が不要です。ただし、車両としての要件を満たすため、一定の制約があります。
仮設の場合
工事現場の事務所など、一時的な使用目的で設置される場合は、基礎工事が不要です。ただし、仮設期間には制限があり、長期間の使用はできません。
※自治体によっては判断が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
建築確認申請が不要な場合
建築確認申請が不要な場合、基礎工事も不要となります。以下の条件に該当する場合は、建築確認申請が不要となる可能性があります。
都市計画区域外、かつ平屋で延べ面積が200㎡以下の場合
一部の地域では、建築確認申請が不要となります。都市計画区域外の土地で、比較的小規模なコンテナハウスを設置する場合に適用される可能性があります。
床面積が10㎡未満の場合
小規模なコンテナハウスであれば、建築確認申請が不要な場合があります。ただし、用途や設置場所によっては、面積が小さくても申請が必要な場合があります。
防火地域・準防火地域以外へ設置する場合
これらの地域以外では、建築確認申請が不要な場合があります。ただし、他の条件も同時に満たす必要があります。
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まとめ
コンテナハウスの基礎工事は、設置する条件や用途によって必要性が大きく変わります。固定設置で店舗や事務所として継続的に利用する場合は、建築基準法に基づく適切な基礎工事が必要です。一方で、移動可能な状態を保ったり、建築確認申請が不要な条件を満たしたりする場合は、基礎工事を省略できる可能性があります。
店舗開業にあたっては、初期投資を抑えることが成功の鍵となります。基礎工事の必要性を正しく理解し、自分の事業計画に最適な選択肢を選びましょう。