【中小企業新事業進出補助金とは】制度内容から活用方法まで徹底解説 

中小企業新事業進出補助金は、すでに事業を営んでいる中小企業が新しい事業に挑戦するときに活用できる制度です。 

補助金を活用すれば、新規事業にかかる資金の負担を大きく減らしながら、開業や事業拡大を目指せます。 

今回は、中小企業新事業進出補助金の制度内容から活用方法まで、初めての方にも分かりやすく解説します。 

中小企業新事業進出補助金とは

中小企業新事業進出補助金は、中小企業が新たに挑戦する際の費用を支援する制度です。ここでは、中小企業新事業進出補助金の概要や目的をわかりやすく解説します。 

制度の概要

中小企業新事業進出補助金とは、中小企業の「新たな挑戦」を後押しするために創設された制度です。2025年4月から公募が始まり、従来の「事業再構築補助金」(第13回公募で終了)の後継制度として位置づけられています。 

公募要領には応募資格や対象経費、申請方法などが細かく定められています。そのため、対象事業や補助金額の上限・下限など、重要事項の確認は欠かせません。 

まずは制度の概要を理解し、自社の取り組みが適合するかを見極めましょう。 

制度が設けられた目的

中小企業新事業進出補助金は、既存事業の枠を超えた新製品の開発や新市場への進出を支援し、生産性向上や賃上げにつなげることを目的としています。 

従来、事業再構築補助金はコロナ禍における中小企業の事業転換支援を担っていました。新事業進出補助金はその役割を引き継ぎつつ、より広く「成長・拡大」を考える事業への挑戦を支援する点が特徴です。 

これにより、中小企業は変化する市場環境に柔軟に対応でき、新規事業への投資や高付加価値な商品・サービスの開発を進めやすくなります。その結果、長期的な成長や収益の向上を実現しやすくなります。 

公募要領の基本ポイント

中小企業新事業進出補助金を活用するには、公募要領の内容の正しい理解が必要です。ここでは、対象事業者や補助金額、経費などの基本ポイントを解説します。 

補助対象となる事業者

中小企業新事業進出補助金の対象事業者は、中小企業基本法で定義される中小企業や小規模事業者で、新規事業に挑戦する企業です。 

製造業やサービス業、小売業など幅広い業種が含まれますが、資本金や従業員数など一定の規模要件があります。 

法人格を持たない場合でも、「創業から1年以上経過している」「従業員を雇用している」といった条件を満たせば、個人事業主も応募可能です。 

ただし、申請時点で従業員数が0名の事業者は対象外となります。法人・個人を問わず、採択されるには事業計画の実現性や提出書類の正確さが重視されるため、申請前に要件の丁寧な確認を行いましょう。 

申請に必要な要件

中小企業新事業進出補助金は、下記の要件を満たす必要があります。 

  1. 新事業進出要件 
  2. 付加価値額要件 
  3. 賃上げ要件 
  4. 事業場内最賃水準要件 
  5. ワークライフバランス要件 
  6. 金融機関要件 
  7. 賃上げ特例要件 

まず、新製品・サービスを提供し、新たな市場へ挑戦するのが前提です。 

さらに、補助事業終了後3〜5年間の事業計画で、付加価値額の年平均成長率4.0%以上を見込む必要があります。 

また、従業員の給与の一定水準以上への引上げや事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高く設定することも条件です。 

補助金を単なる資金調達ではなく、将来の成長に向けた投資として活用する姿勢が求められます。詳しい要件は「中小企業新事業進出補助金」公式サイトも併せてご参照ください。 

補助金額と補助率の目安

中小企業新事業進出補助金の給付額は、投資した経費の1/2が上限で、従業員数によって異なります。従業員数に対する補助金額は下記のとおりです。 

従業員数 従業員に対する補助金額 
※括弧内は特例適用の上限額 
※下限750万円 
20人以下 2500万円(3000万円) 
21~50人 4000万円(5000万円) 
51~100人 5500万円(7000万円) 
101人以上 7000万円(9000万円) 

事業場内最低賃金を地域別より50円以上高くし、給与総額を6%以上増加させた場合、補助上限額の上乗せされ、表の括弧内の金額が給付されます。 

ただし、補助事業期間は「交付決定日から14ヶ月以内」で、採択発表から起算すると最長で16ヶ月です。限られた期間内に実現可能な事業計画を立てて進めましょう。 

補助対象となる経費の種類

補助の対象となる経費には、設備投資から販売促進まで幅広い経費が対象です。主な対象経費は下記のとおりです。 

主な対象経費一覧 
経費 具体的例 
機械装置・システム構築費 食品加工ライン、POSレジ導入、顧客管理システムの構築 
建物費 工場や店舗の新設・改修・改装、ショールームの設置 
運搬費 設備導入や新規商品の配送準備に伴うの輸送費、大型機械の搬入費 
技術導入費 他社からの特許技術の導入契約、ライセンス使用料、技術研修の参加費 
知的財産権等関連経費 新商品の商標登録出願費用、特許取得のための出願手数料や弁理士費用 
外注費 ホームページ制作、商品デザインの委託、外注製造費 
専門家経費 行政書士や会計士による資金・事業計画作成支援 
クラウドサービス利用費 在庫管理クラウド、会計ソフト 
広告宣伝費 新商品のチラシ作成費、Web広告 

人件費や日常的な光熱費や家賃・土地購入費などの支出は補助対象外です。対象経費にはそれぞれ上限や条件が設定されています。申請前に必ず最新の公募要領で詳細を確認しましょう。 

公募スケジュール

中小企業新事業進出補助金は年に2回実施され、申請期間が設けられています。 

第1回は、2025年4月22日から7月15日までが申請期間で、採択結果は10月1日に公表されました。続いて第2回は、9月12日から要領が公開され、11月10日から申請受け付けが開始、12月19日18時が締切となっています。 

申請は専用のオンラインシステムを通じて行います。決算書や従業員を示す書類などの準備が必要となるため、最新情報を確認しながら早めに書類作成を進めましょう。なお、申請から採択後に事業を開始する際は、交付決定後から着手する必要がある点に注意してください。 

リンク:経済産業省「中小企業新事業進出補助金」 

申請前に準備しておくべきこと

補助金をスムーズに申請するには、事前対応と必要書類の準備が不可欠です。採択率を高めるためにも、次の内容を順に確認し、計画的に進めましょう。 

事前に必要な対応

中小企業新事業進出補助金の申請前に、下記の対応を事前に行いましょう。 

  • GビズIDプライムアカウントの取得 
  • 金融機関による確認書 
  • 一般事業主行動計画 

オンライン申請に必要で、GビズIDプライムアカウントの取得には、1週間程度かかります。早めの手続きが必要です。 

融資を利用する場合に「金融機関による確認書」を提出します。自己資金のみの場合は必要ありません。 

さらに、ワークライフバランス要件として「一般事業主行動計画」を策定・公表し、専用サイト「両立支援のひろば」への掲載も必要です。両立支援のひろばへの反映も1〜2週間程度かかるため、あらかじめ準備を進めましょう。 

提出が必要な書類一覧

中小企業新事業進出補助金の申請には、下記の書類の提出が必要です。 

  • 決算書(前年度・前々年度) 
  • 従業員数を示す書類 
  • 収益事業を説明する書類 
  • 固定資産台帳 
  • 賃上げ計画の表明書  
  • 事業計画書 
  • 金融機関による確認書(必要に応じて) 
  • リース関連書類(必要に応じて) 

また、法人の場合は、状況に応じて下記の書類も用意します。 

  • 再生事業者であることを証明する書類 
  • 組合関連書類 
  • 特定事業者関連書類 

不備があると不採択につながります。中小企業新事業進出補助金「資料ダウンロード」より「公募要領」を確認し、不明点は「コールバック予約システム」で早めに相談しましょう。 

補助金活用にあたっての注意点

補助金申請では、事前の準備が採択結果を左右します。スムーズに進めるために、必要な対応や提出書類をあらかじめ把握しておきましょう。 

採択後に課される義務

中小企業新事業進出補助金の申請から採択された場合、事業を進めるだけではなく、その後の報告や要件の維持が求められます。 

具体的には、下記のことが義務づけられています。 

  • 事務局が実施する説明会への参加 
  • 事業化の進捗や成果を示す「事業化状況報告」の提出 

事業化状況報告は、補助事業完了日の年度の終了後を初回とし、以降5年間毎年提出しなければいけません。 

また、賃上げや最低賃金、ワークライフバランス(WLB)といった公募要領で定められた条件を継続的に守る必要があります。 

要件未達時の返還リスク

中小企業新事業進出補助金は要件を満たす前提で支給されるため、満たさなければ返還を求められる場合があります。 

例えば、賃上げ要件や最低賃金水準要件を達成できなかった場合は、一部または全額の返還が発生します。 

特例により補助上限を引き上げていた場合には、引き上げ分を全額返還しなければなりません。 

返還額は未達成の度合いによって変動しますが、経営状況が厳しく赤字の場合には免除されるケースもあります。 

中小企業新事業進出補助金交付までの流れ

補助金交付の流れは、下記の手順で進みます。 

  1. 応募申請 
  2. 採択発表 
  3. 交付申請(交付決定通知) 
  4. 補助業務の実施 
  5. 実績報告 
  6. 補助金額の確定通知 
  7. 精算払請求を行う 
  8. 事業化状況報告の提出(補助事業が終わった年度の翌年度から5年間を報告) 

補助金は事業完了後に清算払いで交付されます。つまり、自己資金や金融機関からの融資で先に資金を確保して事業を実施し、完了後に提出した実績報告をもとに認められた経費分が支払われます。 

また、交付決定日前の契約や購入は補助対象外となるため、スケジュール管理には十分に注意しましょう。また、領収証や発注書、振り込み記録などはすべて残し、後で提出できるように整理しておく必要があります。 

採択率を高めるためのポイント

書類を提出するだけでは採択は難しいため、下記のポイントを押さえて準備を始めましょう。 

事業計画を具体的に作り込む

審査では、事業計画の具体性と実現性が重視されます。市場分析や収益シミュレーションを踏まえ「新サービスの売上を3年後に総売上の15%に拡大する」「従業員数を原稿10名から3年後に15名へ増加」「営業利益率を現行3%から5%へ改善」といった数値目標や根拠とともに示しましょう。 

第2回公募要領では「賃上げ特例の条件」が明確化され、申請者が条件を理解しやすくなりました。その分、競争は激しくなるため、他社との差別化も必須です。 

公募要領を正しく理解する

補助金には、「対象経費」「要件」「目的」が細かく規定されています。申請前に、自社の計画がこれらの条件に適合しているかどうかの確認が必要です。 

補助金の目的には地域振興やDX推進、CO2削減などがあります。目的を把握せずに計画を立てると、不採択につながります。 

中小企業新事業進出補助金についても同様で、応募前に「対象となる事業」「補助対象経費」「満たすべき要件」を照合し、交付後に求められる義務まで想定して計画を練りましょう。 

専門家のサポートを活用する

補助金の申請は手続きが複雑で専門的な知識も求められるため、自力で進めるのは負担が大きい場合があります。 

そのため、補助金に精通した専門家や補助金申請代行サービスを活用すると、事業計画の精度が上がり、採択率の向上が期待できます。 

特に初めて申請する場合は、専門家が計画書の作成や提出書類の確認をサポートしてくれることで、安心して準備を進めていけるでしょう。 

自社独自性を打ち出す

補助金の審査では、他社との差別化につながる独自性が重要です。製品やサービスを導入するのではなく、既存事業の強みや地域特性を活かす工夫が求められます。 

例えば、製造業がこれまで扱ったことのない半導体製造装置部品に挑戦する場合、製品の新規性要件を満たすことができます。また、印刷業が培ったデザインや顧客対応力を活かして飲食店向けの内装工事に参入すれば、市場の新規性要件を示すことが可能です。 

さらに、対象経費には機械装置や建物費、運搬費といった設備投資が含まれます。直売所や簡易型店舗の整備などに活用し、自社の強みや地域資源と結びつければ、独自性を打ち出すことも可能です。 

審査では「自社だから実現できる事業」だと明確に伝える必要があります。既存事業の強みや地域資源を組み合わせて独自性を打ち出せば、新規事業の説得力が増し、支援対象として評価されやすくなります。 

まとめ

中小企業新事業進出補助金を活用すれば、低コストでの新規出店や事業展開を実現できます。しかし、採択決定から事業完了までの期間は最長16ヶ月と限られており、採択後は迅速に準備を進めなければいけません。 

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なお、本サイトで紹介している補助金制度について、コンテナ購入が補助対象となるかどうかの判断は弊社ではいたしかねます。必ずお客様ご自身でご確認いただくか、補助金担当機関へお問合せください。あわせて、補助金制度の内容は予告なく変更される場合がありますので、最新の情報をご確認ください。 

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