コロナ禍以降、キッチンカーの需要は徐々に高まっています。キッチンカーで成功するには、実店舗とは違ったアプローチが必要です。
キッチンカーで儲かるメニューにはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、キッチンカーのメニュー作りの鉄則について紹介します。
目次
キッチンカーは実店舗以上にメニュー作りが重要
なぜ、キッチンカーにとってメニュー作りがもっとも重要なのでしょうか?
それは、キッチンカーでは絞られたメニューで売上・利益を出す必要があるからです。
用意できる品数や、各自治体によって変わる提供可能品目が実店舗に比べて制限されるキッチンカー。その制限のなかで工夫したメニューを提供し、売り上げを向上させなければいけません。
キッチンカーのポテンシャルには限界がある
キッチンカーは実店舗のような設備がないので、調理できる料理が絞られてきます。無理にメニューを増やせば、提供時間が伸びてしまい結果的に売上減になりかねません。
キッチンに立てる人数も1~2人となり、調理だけでなくお会計も同時に進めなければなりません。
キッチンカーにはキッチンカーなりの創意工夫で最大限のポテンシャルを出す必要があります。
また、固定された店舗がなく滞在時間も短いため、その地域に根付いた営業が難しいかもしれません。
お客様は十分に店主・店員とのコミュニケーションもなかなか取れないので、初めてのお客様をどのようにして集客するのかという点に絞る方法も考えなければいけません。
メニューにリピート・収益・今後の発展がかかっている
以上の性質上、キッチンカーのメニューは絞られたメニューをできるだけ数多く売って、売上と利益を出す仕組みです。このメニューがうまくいけば、横展開が見えてくるかもしれません。
キッチンカーの台数を増やす、メニューのバリエーションを増やすなどして、さらなるビジネスの発展が期待できます。
キッチンカーで儲かるメニューの5つの原則
以上を踏まえた上で、キッチンカーのメニューづくりにおいて大事な原則を整理しましょう。
原則1.誰でも知っているメニューであること
飲食店を営業したい方のなかには「自分が編み出したオリジナルの料理やメニューを世に出したい」という夢を持っている方も多いでしょう。また、既存のメニューでも奇抜なアレンジで個性を出したい方もいます。
しかし、キッチンカーで誰も知らないオリジナルメニューを出すのは危険です。
飲食店を探している方は、「ラーメン」「中華」など既存のメニューや料理のジャンルで検索します。キッチンカーの出店場所には、コンビニ、実店舗、ほかのキッチンカーなどたくさんのライバルが存在します。
そのなかで誰も知らないメニューを売り出せば、埋もれてしまいます。
まずは誰もが喜ぶ不特定多数に喜ばれるメニューで勝負し、オリジナルティーは後で出すのが良いでしょう。
原則2.満足できるボリュームと買いやすい価格であること
キッチンカーのメインメニューは美味しいのが当たり前です。その上お客様が満足できるボリュームでありながら、手頃な価格が求められます。
例えば、昼食だとランチの予算内でササッと食べられて、しかも夕食まで腹持ちする。など簡単な所をしっかりと考慮してみましょう。
多くの方が喜ぶはずなのになぜかキッチンカーでは見かけないというメニューを発見することができれば、人気を獲得するために挑戦したいと思う方もいるかもしれません。
しかし、その理由には原価が高くなってしまうなど何らかの理由があるので、 即決する前にメニューの原則を見直してみてください。
原則に合わないからこそ、メニューに出ていない、あるいは出していた店は営業が続かなかった可能性が考えられます。手頃な価格でおいしければリピート客が増えて、収益が安定します。リピートで売上をあげていくのが基本的なキッチンカーのビジネスモデルといえるでしょう。
原則3.単品だけで利益が出るメニューであること
1番大切なことですが、単品だけで充分な利益を出る価格設定にしましょう。
前述した通り、キッチンカーでは追加オーダーの売上・利益が見込めません。単品だけで利益を出す必要があります。お客さんの財布の中身は変わらないので、原価率の高い素材はどうしても儲けが薄くなります。
同じ価格でも、利益率が少ないので、よりたくさん売らないと同じ利益になりません。「粉物屋は儲かる」といいますが、原料が粉だと原価率が低く、同じ価格でも多く利益が出せるという理由があるからです。
原則4.提供スピードが早いメニューであること
キッチンカーで営業するには、料理の提供スピードが早くなければなりません。実店舗のように座って待つ場所がないことが多く、実店舗に入る時間がないお客さんがキッチンカーに来ていることも考えられます。
顧客満足度を高めるためにも、提供スピードは早ければ早いほど良いです。
限られた時間とスペースでは、いかに効率的にメニューを提供して収益を上げるかを意識しましょう。キッチンカーで利益を上げるためには、回転率を高くしなければなりません。
提供スピードを早くするには、手早く作ることももちろん大切ですが、仕込み段階で完成に近い状態にしておく必要があります。完成に近い状態まで仕込みを行うには、キッチンカーとは別の場所で仕込みをするのがおすすめです。
自宅は仕込み場所として利用できないため、飲食店のスペースやシェアキッチン、仕込みのための物件を借りるなど、仕込み場所の確保が必要です。
キッチンカーの仕込み場所については、下記の記事で詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
原則5.出店場所のニーズに合ったメニューであること
顧客層やターゲットを見極め、出店場所のニーズに合ったメニューを提供しましょう。例えば、公園やショッピングモールで出店するなら、子どもが喜ぶ家族向けのメニューが適しています。クレープやアイスなどのスイーツ系なら子どもにも人気です。
また、オフィス街ならお昼時を狙ったランチ系メニューなどが考えられます。男性向けのがっつりメニューや、女性向けの野菜たっぷりヘルシーランチなど、需要に適したメニューを用意するのが鉄則です。 出店場所のニーズに合ったメニューを開発するためには、まずは出店場所の周囲にどんな建物や施設があるか、道端を歩いているのはどんな方が多いかなどを事前に調べておくと良いでしょう。
キッチンカーのメニュー作りの手順
誰でも知っているメニュー、お手頃価格で満足できるボリューム、儲かる、早い、ニーズに合ったメニューの5原則を頭に入れたら、実際にメニューを考えましょう。
実際にはキッチンカーのコンセプトとメニュー作りは切り離せないので、一緒に考えていきます。
1度メニューを決めたら、簡単に変えることはできません。キッチンカーの設備をやり直すのは、費用と手間がかかるので、納得がいくまで時間をかけて何度も練り直しましょう。
メインメニューを作る
お客さんが「おいしい」と喜んでくれて、リピートしてくれて、しかも儲かる。
言葉で言うのは簡単ですが、実際にメニューを作るのは簡単ではありません。
しかし、自分が本当にお客さんに「食べてもらいたい」「喜んでもらいたい」と思って作る料理の軸がズレてしまうと、もともとのキッチンカーを作りたいというモチベーション自体がなくなってしまうかもしれません。
まず、自分の主軸にしたい料理を柱に立てます。
おいしいやあなたのこだわりを優先させて、原価が上がってしまった場合、今度は材料や作業工程を引き算して原価を安くできないか見直します。原価とおいしさは必ずしも比例しません。
料理人ならば素材、工程にこだわりたい気持ちは分かります。もう一度お客さんファーストでメニューを見直してみましょう。あなたのこだわりはお客さんにとっては不要なものかも知れません。
アレンジメニューをプラスする
例えばローストビーフをメインにしたいと思っても、原価が高いので手を出しにくい価格になります。ローストビーフは夜用のメインメニューにして、昼や朝用には「粉物」か「米もの」を付け合わせて提供してみるのはどうでしょう。
「ローストビーフバーガー」「ローストビーフ丼」などにすれば、価格を抑えてボリュームも出せます。バーガーと丼ものはモーニングかランチメニューにして、夜をローストビーフメインにするという形です。
メインメニューからサイドメニューを設定する
メインメニューを作ったら、そのメインメニューを活かしたかあるいはメインメニューから派生するようなサイドメニューを作っていきます。
できれば、メインメニューの素材の残りが使い回せるのがベストです。そうすればロスなく素材を使い切れるメリットが生まれます。ローストビーフなら牛肉の端材をスープにしたり、野菜ならサラダに回したりするという感じです。
新たな素材で作ると、食品ロスが生まれ、経費が増えてしまいます。メインメニューとは違う調理法で作る場合、設備や調理器具を増やす必要があります。
例えばメインメニューが揚げ物でないのにサイドメニューが揚げ物だと、新たに揚げ物をする準備が必要になり、設備や調理工程に負荷がかかります。サイドメニューはメインメニューと一緒にして違和感のないもの、邪魔しないものを選びましょう。
キッチンカーの人気メニュー(ランチ編)
売れ筋メニューのほとんどは「誰でも知っているメニュー」「お手頃価格で満足できるボリューム」「儲かる」「早い」「ニーズに合ったメニュー」の5原則を踏まえています。
焼きそば
定番中の定番の焼きそばです。鉄板一枚で調理でき、ケータリングにも便利です。
屋台の原点といえば江戸時代からある「そば」「うどん」ですが、なぜキッチンカーでは「ラーメン」や「うどん」が少ないのでしょう。
ポイントは水にあります。
スープと麺を湯がくために大量の水が必要となり、大型サイズのキッチンカーしか対応できません。さらに麺類をゆがいた水は後で悪臭が発生するため、排水溝へ流すことはできないというルールがあるためです。
たこ焼き
たこ焼きは、原価が安く、利益を出しやすいメニューのひとつです。高価なイメージもなく、庶民的でお客さんも手を出しやすいのでよく売れます。また、家族で食べる場合は2パック以上購入するケースもあるので、客単価が上がりやすいメニューです。
しかも、おやつや食事でも食べられるので、時間帯に関係なくコンスタントに売れます。ソースの種類やトッピングなどを選べるように用意することで、お客さんに飽きられにくい点もメリットです。
ピザ
キッチンカーに石窯を仕込んで焼くピザは絶品で、ピザが焼ける様子が見せ場になり、特別感があります。
ベースの生地は同じですが、トッピングをアレンジすることでさまざまなメニューに対応できます。季節によってメニューの変更も容易にできますよね。
クレープ
ピザと同じように、中の具材をアレンジすることで、朝食、ランチ、おやつ用とTPOに応じたメニューに対応できることが人気メニューになる大きな要因でしょう。
女性やお子様などターゲットも絞りやすく出店場所も選びやすいのは、街中でクレープ屋さんをよく見かける理由なのかもしれません。
カレーライス・丼もの
ベースになるカレーや具材で勝負できる味があれば、後はごはんに乗せるだけという簡単なオペレーションな上、ボリュームも満足できるメニューです。
カレーや具材はあらかじめ調理しておけるので、待たせることがなくて短時間で効率良く売りさばくことができます。また、トッピングのアレンジで、バリエーションも簡単に展開できます。
焼き鳥・唐揚げ
原価が高い肉ですが、そのなかでも比較的安価で人気なのが鶏肉です。
焼き鳥、唐揚げも素材や味付けを変えることでアレンジが可能です。
串の場合、肉だけだと原価が高くなるので、ネギなど野菜を挟むことで原価を下げられます。
豚肉や牛肉でも作れますが、原価の高さが価格に反映され価格が高くなることがあります。
そのため、お祭りや催事などの人気が出る場所への出店が限定される可能性があります。
焼き鳥や唐揚げをキッチンカーで販売しようと検討している方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
ハンバーガー
ハンバーガーは、ソースや中身の具を変えることで、さまざまなバリエーションのものを出すことができるメニューです。ファストフードでは味わえないようなおしゃれさやこだわりを出すことで、ファストフードとの差別化を図ることもできます。
また、ハンバーガーならドリンクやポテト、サラダなどのサイドメニューとセット販売しやすいです。サイドメニューを複数用意することで、客単価の向上が期待できます。
ホットドッグ
ホットドッグは、軽食の定番として幅広い世代の方に好まれるメニューです。固定店舗も少なく、キッチンカー販売での人気があります。作り方も、パンにソーセージをメインとした具材を挟むだけなので、早く提供できるのもメリットのひとつです。
しかも、ホットドッグは片手で食べやすいので、外で食べることをイメージしやすく、抵抗もありません。そのため、公園などで売れやすいメニューです。
ソーセージ以外に別の具材を入れてみたり、味付けにこだわったりすると、バリエーションも豊富になるので、オリジナリティのあるメニューを提供することもできます。
キッチンカーの人気メニュー(スイーツ編)
ここでは、SNS映えするメニューや、若年層からの支持も期待できるスイーツの売れ筋メニューを紹介します。
クレープ
キッチンカーの定番メニューのため競合は多いですが、ユニークな生地や具材を使用すれば、比較的簡単に差別化できます。見た目もSNS映えしやすく、若年層からの支持も得やすいメニューです。
女性やお子様などターゲットも絞りやすく出店場所も選びやすいのは、街中でクレープ屋さんをよく見かける理由なのかもしれません。
かき氷
かき氷は夏場に人気が見込めるメニューです。夏の暑い日にかき氷を販売しているキッチンカーを見かけると、つい買いたくなる方は多いでしょう。老若男女問わず需要があり、暑い日ほど集客が期待できます。
また、かき氷はキッチンカーで販売するメニューのなかでも、提供難易度が低いのが特徴です。難しい作業はなく、専用の機械に氷を入れて、シロップをかけるだけで作れます。準備に手間や時間はかかりません。
競合は多めですが、フレーバーやトッピングなどで個性を出せます。いろんな味を楽しむためにリピーターになってくれるお客さんも多いのではないでしょうか。
ただ、冬場はあまり需要が見込めない点に注意が必要です。売上や利益を安定させるためには、ほかのスイーツなどもあわせて販売するのが良いでしょう。
わたあめ
わたあめはイベントやお祭りなどの際に、子ども連れからの人気が期待できるメニューです。原価率がかなり低いため、高い利益率が期待できます。
わたあめを作るのに特に複雑な操作をするわけではないため、提供難易度も高くはありません。準備も手間がかからず簡単です。競合もそれほど多くはないため、狙い目といえます。
種類は限られてしまいますが、色を付けることでバリエーションを増やせます。カラフルな色にすれば、小さい子どもが喜んでくれるでしょう。
キッチンカーの人気メニュー(ドリンク編)
ランチ・スイーツメニューと組み合わせて販売できるドリンクメニューをみていきましょう。
コーヒー
コーヒーは時間帯や季節などを問わず、いつでも安定した需要が見込めます。ランチやスイーツを食べる際にコーヒーも飲みたいお客さんは多いです。
また、コーヒーは原価率が低く、提供難易度も高くはありません。ドリップ用の機器があれば、挽きたてのコーヒーを提供できます。豆の種類や焙煎方法などで種類を増やせば、競合との差別化も図れるでしょう。
カフェオレなど、コーヒーとほかのドリンクを組み合わせたメニューを設けるのもおすすめです。
お酒
ビール・サワー類・ハイボールなどのお酒もキッチンカーで販売できます。各種イベントが開催されている場所の近くや、夜市などで需要が見込める商品です。イベントに参加した帰りに、軽くお酒を飲みたくなる方は多いでしょう。
お酒そのものを用意して、提供する際に氷を入れて注ぐだけなので、素早く簡単に提供できます。準備にも手間はかかりません。
差別化を図りたい場合には、オリジナルカクテルを提供するのも良いでしょう。
前述のたこ焼きや唐揚げなどとセットでお酒を販売するのもおすすめです。
レモネード
レモネードは夏場の季節に需要が見込めるドリンクです。暑い日にレモネードを飲みたくなる方は多いでしょう。キッチンカーや移動販売などでレモネードを取り扱っているところは珍しく、競合は少なめです。
粉末を溶かすだけで作れるため、提供の難易度も高くはありません。やや手間はかかりますが、自家製の本格的なレモネードを提供するのもおすすめです。
まとめ
キッチンカーは、実店舗とは違った戦略でメニューを考える必要があります。まずはどんな方に食べてもらいたいか、どんな場所で販売したいかなどを考え、その状況に合ったメニューを考案しましょう。
お客さんのニーズに合ったメニューが提供できれば、人気のキッチンカーになれるはずです。
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また、キッチンカーには電源が欠かせません。電源確保には発電機やポータブル電源の搭載などいくつかあります。そのなかでも、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源の活用はおすすめです。騒音を気にせず、どこでも大容量の電気を使えます。