
居酒屋開業の成功の鍵を握るのは、独自のコンセプトを定めた上で、慎重に準備しつつ進めることです。資金調達や物件選び、内外装の工事、スタッフ教育など、計画的に進めましょう。今回は、開業準備から運営開始までの9つのステップを詳しく解説します。
目次
居酒屋を開業する9ステップ
まずは、居酒屋を成功させるために必要な準備を9つのステップで紹介します。
ステップ1|コンセプトの決定
居酒屋の開業を考える際、最初に決めなければならないのが「コンセプト」です。コンセプトがしっかりと決まっていないと、お店の方向性が定まらず、結果としてお客様に価値が伝わりにくくなります。最終的には、コンセプトが曖昧なお店は競争の激しい市場で生き残るのが難しくなってしまいます。
まず、他店との明確な差別化を図ることが重要です。例えば、地域の特産品を使った料理を提供する、若者向けのカジュアルな居酒屋を目指す、高級感のある落ち着いた雰囲気を演出するなど、ターゲット層に響くコンセプトを設定しましょう。
また、コンセプトを決める際は「7W2H」の観点を取り入れ、誰でもどんなお店かイメージできるわかりやすい言葉で表現することが大切です。例えば、「駅前で気軽に楽しめる海鮮居酒屋」といった具体的なイメージを持たせると、来店の動機につながりやすくなります。
ステップ2|事業計画の策定
開店の1年~半年前には、事業計画をしっかりと作り込みましょう。事業計画では、コンセプトをもとにお店の立地や商圏の市場調査、開業にかかる費用、開業後の売上見込みなどを算出します。
事業計画書は、融資を受ける際にも必要なため、第三者が見ても理解できるようにすることが大切です。
ステップ3|資金調達
資金調達は、開業の約半年前から準備を始めるのが理想的です。必要な資金は、店舗の規模や設備、内外装の工事などに応じて異なりますが、自己資金、民間金融機関、公的機関、親族や友人からの借入など、複数の方法を検討して資金調達を行いましょう。
また、必要な資金がそろわない場合には、事業計画書を見直して削るべき部分を検討することも重要です。例えば、設備を中古品やレンタルで対応する、広告費用を削減するなど柔軟に対応することで、予算の使い道を最適化できます。
ステップ4|物件探し
物件探しは、開業の約半年前から行い、慎重に進めます。「どんなお店にしたいのか」というコンセプトを反映できる立地や物件を選びましょう。
また、商圏調査を行い、そのエリアの需要や競合店の状況を把握することも大切です。お店の立地が事業計画に合致しているか、十分に検討した上で物件を決定しましょう。
ステップ5|内装・外装の工事
内外装工事は、店舗オープンの約3か月前から始めます。お店のコンセプトを踏まえるほか、特に内装工事は作業台や厨房のレイアウトが生産性に直結するため、効率を考慮した設計が求められます。
工期は物件の規模や状態によって異なりますが、通常は2週間~2か月程度を見込んでおくと良いでしょう。予算に応じて、外装に特色を持たせたり、内装でお客様がリラックスできる空間を設計したりなどの工夫が必要です。
ステップ6|機器・什器・備品の購入
機器や什器、備品の購入は、内外装工事と並行して行います。オープンの約3か月前から準備を進めましょう。厨房機器や食器類、テーブルや椅子など、開業に必要なアイテムをそろえます。
予算に余裕がない場合は、中古品を活用したり、レンタルを検討したりするのもひとつの方法です。
ステップ7|必要な資格や許認可の取得
居酒屋の開業には、営業許可やアルコールの提供に関する免許など、必要な資格や許認可を取得する必要があります。開業前に必ずこれらを確認し、適切な手続きを行いましょう。
特に、飲食店営業許可や食品衛生責任者の資格、酒類販売許可証などは必須となります。これらの申請にかかる期間や手続き方法については、各自治体のホームページで確認するか、専門のコンサルタントに相談するのも良いでしょう。許認可が整わないと営業を開始できませんので、余裕を持って準備を進めましょう。
ステップ8|スタッフの採用と教育
スタッフの採用は、開業の1~2か月前に始めるのが理想です。居酒屋はお客様との接点が多いため、スタッフの接客や作業スピードがお客様視点でも重要なポイントになります。適切なスタッフを採用するためには、求人広告を出す、面接を行う、必要なスキルや経験を持った人材を見極めることが肝要です。
また、スタッフ教育は開業前に行い、開業当日からスムーズに運営できるようにします。接客マナーや調理方法、業務フローなどをしっかりと教え、オープン初日からスタッフが自信を持って業務に取り組めるようにします。定期的に研修を行い、スタッフの成長を支援することも大切です。
ステップ9|オープン準備と集客活動
開業日の約1か月前から、オープン準備と集客活動を始めます。この段階では、店舗の看板設置や販促物(チラシ、メニュー表)の作成、SNSやホームページを活用した告知など、集客のための準備を整えます。開店前から情報発信を行い、お客様を集めましょう。
また、開店当日の準備も重要です。オープン時には割引キャンペーンや特典を提供することで、お客様の来店を促進できます。開店初日から、ポジティブな口コミが広がるよう、しっかりとした接客とお店の雰囲気作りを心がけましょう。
居酒屋の開業にかかる費用
居酒屋を開業するためには、初期費用として平均500万円~1,000万円程度が必要になります。
開業に向けた費用の内訳を下記の表にまとめました。具体的な金額は地域や店舗の大きさにより異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
項目 | 金額 |
物件取得費用(敷金・礼金・保証金) | 150万円〜300万円 |
内装工事費用 | 200万円〜500万円 |
設備投資(厨房機器、冷蔵庫など) | 150万円〜200万円 |
物件取得費に関しては、立地が繁華街や主要駅近くであれば、家賃や保証金が高くなります。また、店舗の雰囲気やテーマに合わせた内装を施す場合も、その分費用がかかります。
居酒屋の運営には、開業後も一定のランニングコストがかかります。下記は一般的なランニングコストの例です。
項目 | 金額(月額) |
賃貸料 | 15万円 |
人件費(従業員の給与) | 20万円 |
光熱費(電気・ガス・水道) | 10万円 |
食材・仕入れ費用 | 20万円 |
広告宣伝費 | 20万円 |
上記のランニングコストを考慮しつつ、月々の売上や利益を計画することが重要です。開業初期は集客に時間がかかることもあるため、しっかりとした資金繰りと運営計画が求められます。
居酒屋の開業を成功させるためのポイント
ここでは、開業を成功に導くための3つのポイントを紹介します。
ポイント1|競合店との差別化を図る
競合店と同じようなメニューやサービスを提供していては、差別化が難しくなります。差別化を図るためには、店舗のコンセプトやターゲット層を明確にし、その方向に合わせたメニューやサービスを提供することが大切です。
例えば、メニューには地域特産の食材を使用した料理や、他店では味わえないオリジナルのレシピを取り入れることで、顧客の興味を引くことができます。また、ターゲット層に合わせた店内の雰囲気作りや、スタッフの接客スタイルにもこだわり、他店との違いをアピールすることが必要です。
ポイント2|質の良いサービスを提供する
居酒屋では、サービスの質が店舗の評判やリピーター獲得に大きく影響します。スタッフの教育は、接客マナーやアルコール管理、適切な酔い加減の見極めなどを徹底することが重要です。
また、宴会プランを充実させることで、団体客の獲得にも繋がります。例えば、パーティープランやコース料理の内容を工夫し、リーズナブルな価格帯を設定することで、集客力をアップできます。質の高いサービスを提供することで、口コミでの評判が広まり、安定的な集客が可能になります。
ポイント3|原価管理を徹底する
利益を確保し、競争力のある価格設定を維持するためには、原価管理が重要です。まずは仕入れ先の見直しと価格交渉を行い、食材やドリンクのコストを最適化します。
さらに、適切な在庫管理を行い、廃棄ロスを減らすことも大切です。メニューごとの原価計算を定期的に見直し、必要に応じて価格の調整やメニュー変更を行いましょう。また、食材の無駄を減らすために、部位別に異なる料理を開発するなど、食材の有効活用を進めるのも重要です。
まとめ
居酒屋開業に向けた準備では、まず独自のコンセプトを明確にし、それを反映した事業計画を作成します。その後、資金調達や物件選び、内外装の工事などを順次進め、許認可を取得してからスタッフの採用・教育を行います。開業後は集客活動を重視し、競合との差別化を図りましょう。さらに成功させるためのポイントとして、予算に合った設備選びや原価管理を徹底し、経営を安定させましょう。
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